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オグラのFGXプロジェクト

 クラシカルな佇まいを気軽に楽しむ!

2010.07.09 10:24
FGX PROJECT VOL.8





  最終回  FGXはとても気分がいい! 


  7月はじめの梅雨の最中、完成なったFGXを試乗に連れ出した。
  と、何事もなかったように書き出したが、実は前回からここに至るまで、また色々な出来事があった。  GX純正型マフラーを装着して、一応の完成を見たFGXなのだが、その後ラジエターからの水漏れが発見され、さらにはブレーキペダルが踏んだら戻ってこないというトラブルにも見舞われた。  このため、試乗を兼ね、6月20日に筑波サーキットで開催されるゴルフカップでお披露目という目論見はもろくも崩れ、結果的に7月までずれ込んだというわけだ。  



  まぁしかし、これぐらいのトラブルは織り込み済み。  FGXのベースになったクルマは、ゴルフ2のヒストリーのなかでは中期モデルと呼ばれる、'88年式。  新車登録から20年以上が経過していて、しかもここ数年は放置されていたものだ。  なにがあってもおかしくない。  しかし、それを乗り越えてこそ、このプロジェクトのひとつのテーマである、「ゴルフ2という名車を、1台でも多く残していく」が実践できることになる。  なにを隠そう、このテーマは、スピニングガレージの、いわば社是でもあるのだ。  

  その最後の、ブレーキペダルが戻ってこないというトラブルは、小磯メカニックが解消してくれた。  当初は、マスターシリンダーが原因かと思われていたのだが、実際には、ブレーキペダル支点の軸が錆ついていたためだった。  その錆のストッピングパワーがリターンスプリングの力よりも大きかったため、ペダルが戻ってこなかったのだ。  このクルマ、フロアが水浸しになっていた時期もあったようで、その時の湿気がペダルの軸に錆を発生させた模様。  小磯メカ、ペダルのセットを外して分解、軸を取り出して錆落とし。  簡単に説明しているが、これがステアリングシャフトも落とさなければならない大工事であることは、念のためお伝えしておく。  小磯さん、定休日の水曜日だというのに、ジットリとした暑さの午後いっぱい、この作業をやってくれた。  感謝!

  こうして、無事、スピニングを出発したFGXは、無料化社会実験の対象となった八王子バイパスを抜け、八王子インターから中央高速を都心に向かった。  オグラは、顔がほころんでいた。  ようやく念願が叶ったのだ。  


  'FGXのエンジン(RV型)は、まだ眠りから覚めたばかりといった渋さが感じられるものの、ノーマルよりも軽い吹け上がりを示していた。  プラグやコード、デスビなどの電装系は交換してあるし、エンジンオイルとエレメントも交換しているから、なんの気兼ねもなくアクセルを踏める。  このクルマを保管していた埼玉・日高のスタイマーによれば、かつてヘッドのポート研磨をやっているとのことで、この吹け上がりのよさも分かるような気がする。  ただし、エアコンをかけた状態でのアイドリングから軽くアクセルを踏み込むと、エンジンがストールしてしまうこともあって、全体に調子はまだまだ。  走り込んでいけば、やがて馴染んでくるという気配が濃厚で、今後に期待というところ。  
  その乗り心地は、考え方で評価が変わりそうな微妙さがある。  ご存知のように、FGXのサスペンションは、ザックス・スポーティングのユーズドに交換してある。  これが、13インチのタイヤ&ホイールとのマッチングがもうひとつのように思えたのだ。
  新品のピレリP4の当たり自体はソフトなのだが、ショック&スプリングの減衰がそれにシンクロせず、シットリとした乗り味となっていない。  100㎞/hぐらいの速度になると、旧いスチールホイールのブレも加わるようで、微震動も感じられる。  このあたりも、走り込むにしたがって馴染んでくるものと思われるが……。  

  それにしても、この雰囲気のよさはなんだろう。  ステアリングホイールは細いグリップを持つ2本スポークで、オーディオは選曲ボタンを指でグッと押し込む旧いタイプ。  シフトノブのトップは、5速がエコノミーの頭文字、Eとなるデザイン。  センターコンソールにパワーウインドーのスイッチはない。  ウインドーの開閉はドアに付くハンドルで行なうのだ。  ドアポケットは、実用的とは思えない幅がないタイプ。  そして、なにより三角窓があるのだ!


  撮影を進めていけば、GX型の佇まいのよさがますます好ましくなってくる。  フロントグリルは細いバー(ブレード)を6本持つもので、もちろん2灯。  バンパーはいわゆるスモールバンパーの、クロームっぽいモールが入るタイプ。  ボディサイドにプロテクションモールはなく、あるのはリアホイールアーチ前の細いストーンガードのみ。  そして、繰り返すが、なにより三角窓があるのだ!

  ボディカラーをライトブルー、いや水色(この表現のほうがGX型に似合う)にしたのは、大正解だった。  ゴルフ2には暗色系が多いだけに、水色ということだけでも目立つし、最近ではあまり設定されないカラーということもあって、存在感が際立つ。  これはいい。  本当にいい。  


  運転していて気づくのは、なんというか周囲の目の、視線の温かさだ。  信号で止まれば、明るいボディカラーに惹かれるのか、それとも四角いボディに丸い目のかわいらしさに惹かれるのか、女性陣が優しげな視線。  対向車線を走ってきたクラシック・ミニのドライバーは、ピカピカに光っているゴルフ2に、「オッ、この手もありかな」という視線を送る。  高速道路で遭遇したゴルフ2のドライバーは、まず三角窓付のGX型が元気に走っていることにビックリした様子。  次にボディの程度のよさ、つまり塗装がきれいなことに驚いて、抜くのをやめて、後ろについたり、横についたり。  しばらく観察してから走り去っていったが、きっとこのドライバーはGX型の価値が分かる人だったに違いない。  


  なんというか、FGXに乗っていると、とても気分がいい。  心落ち着く、穏やかな世界に浸っている自分を発見することになるのだ。  

  正直にいえば、オグラとしては、まだこのFGXにはやり残したことがあるような気がしている。  前後のシートはアプト仕様ではなく、ごくごく普通のものにしたいし、オートアンテナはメッキタイプにしたい。  サスペンションをザックス・スポーティングのままとするなら、14インチのタイヤ&ホイール(できればアルミ)を装着したほうがよさそうだし、もし、13インチのタイヤ&ホイールをそのままにするなら、サスペンションをノーマルに戻したほうがよさそうだ。  オグラとしては、後者を選択したいが……。  



  しかし、スピニングガレージがこのFGXプロジェクトに掛けた時間、コストを考えると、もうこれ以上のお願いはムリ。  もともと、スピニングのサポートがなければ、このFGXプロジェクトは実現不可能。  夢にとどまっていたはずだ。  よくもまあ、オグラのワガママに付き合ってくれたものだと思う。  


  最後にーー。  

  オグラがこのFGXプロジェクトでお伝えしたかったのは、ゴルフ2の楽しみ方は色々あるということだ。  もうゴルフ2がオリジナルを大切にしたほうがよいくらいのクラシックカーになってきたことも確かだが、ミニのように、自分なりのカスタマイズを楽しむための素材という考え方もまだまだ成立する。  今回のプロジェクトは、「GX型のクラシックな佇まいを気軽に楽しむ」というコンセプトで進めたきたわけだが、その過程で、思うがままにクルマを仕立てていくという、まるで1分の1モデルを作るような面白さ、楽しさも感じてもらえたと思う。  それこそが重要なポイントなのである。  別にフェイクである必要もない。  プチレストアと考えてもらってもいい。  要は、どのような形でもいいから、ゴルフ2を楽しんで欲しいのである。  


小倉正樹




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2010.06.09 08:19
FGX PROJECT VOL.7





  第7回  バンザーイ! FGXが完成した 


  いや、長らくお待たせした。  第6回は3月上旬にアップしたから、もう3カ月ものご無沙汰になる。  実は、これもスピニングガレージの面々、およびオグラのコダワリが原因。  前回、予告したように、FGXは車検整備をやって、無事ナンバーも取得した。  4月半ばのことだ。  しかし、最後に残ったのは、テールエンドのマフラー問題だった。  この'88ゴルフには、かつて大流行したDTMタイプが装着されていた。  もちろん、これでは雰囲気台無し。  これを、GXらしさが最も強くアピールできる、出口が下を向いた純正タイプに変更しようということになっていた。  ところが、発注すれど、なかなかモノが届かなかったのである。  



  車検整備は、スピニングガレージ内では“てっちゃん”と呼ばれている中西メカの手で行なわれた。   ちなみに、彼のノート型パソコンの待ち受け画面は、あまり見たことのないボディカラーの電車が次々と現れては消える。  そう、中西メカはここ数年、顕在化し勢いを増してきた“鉄ちゃん”なのである。  “撮り鉄”か?



  もとい。  FGXの整備は、まず状態をチェックし、やるべき項目を洗い出すことから始まった。  エンジンルームを点検し終えると、今度はクルマをリフトに乗せて下回りを調べていく。  この’88ゴルフは、もともと数年は放置されていたというクルマで、エンジンはかろうじてかかるものの、公道デビューは控えた方がいいという状態。  すぐにマイナートラブルが発生しそうな、そんな雰囲気を持つクルマだった。  ということで、中西メカが洗い出した項目は、多岐にわたるものだった。  
  エンジン関連では、オイル漏れしているヘッドカバーパッキン、オイルパンパッキンの交換、ベルト類の交換、電装のプラグ、プラグコード、ディストリビューターのローターおよびキャップの交換というところ。  ブレーキ関連は、フロントのディスク、パッド、ホース、そしてブレーキオイルの交換。  加えて、タイヤの交換。  サスペンションは、このプロジェクトがスタートしてからすぐ、ユーズドのザックス・スポーティングに変更しているので、新たな作業はなし。  
  エンドマフラーは塗装が剥がれて錆が出ていたものの、排気漏れはなく、とりあえず車検には問題がないということで、そのままに。  FGXに見合うエンドマフラーは、スピニングガレージでもなく、店長の田中さんが「それなら、折角だし、GX用の新品を取っちゃおう」とコダワリをみせたことから、交換は車検を取ってからということになった。  これが、後で響いてくることになるのだ。  




  クルマがリフトに載っていることから、手始めに行なわれたのはフロントのブレーキ関連の交換作業。  次いで、ベルト関連。  プーリー類の溝が錆を浮かせていたため、プーリーを一旦取り外す必要があったのだ。  入念に錆取りが行なわれたのはいうまでもない。  そして、エンジンオイルを抜いて、オイルパンパッキン、さらにヘッドカバーパッキン交換と進んでいく。  ついでながら、錆だらけだったヘッドカバーは、塗装済みの中古品と交換。  で、電装関連の交換。  サクサクと作業を進めた中西さんは、最後に,オイルフィルターを交換、新しいエンジンオイルを注入、またブレーキラインのエア抜きをやって、予定の作業を終了させた。  


  一方、タイヤの交換作業を進めていたのは、メカ見習いの、もうひとりの中西さんだ。  スピニングガレージ内では、“マイケル”というあだ名で呼ばれているが、その由来はまだ聞いていない。  しかし、なぜ、スピニングガレージ内ではあだ名で呼び合う習わしになっているかが分かる。  もし、誰かが「中西さん」と呼んだら、ふたりが「はい」と返事することになるわけで、 呼んだ人も呼ばれたふたりも煩わしいこと間違いない。  そういうことだ。  



  もう一回、もとい。  FGXのホイールは、スペシャルヘルパーの安達さんが探し出してきてくれた13インチのスチールホイール。  が、そのタイヤ、コンチエココンタクトは、もうガビガビ。  ゴムというよりは、樹脂というような硬さ。  要交換となっていた。  そこで、用意されたのがピレリのチンチュラートP4だ。  メカ見習いの中西さんは、その硬い硬いタイヤを外した後、ホイールにリムに発生していた錆を取る作業も行なって、新しいタイヤを組み込んだ。  
  もっとも苦労したのは、ホイールバランスだ。  あるホイールとタイヤは、組み付け位置を何度も変更した。  古いスチールホイールだからしょうがないといえばしょうがないのだが、どうしても、40gとか50gのウエイトを必要としたからだ。  この作業は、タイヤをリムに組み付けたまま回したり、あるいは外したりして、その度バランサーにかけるというもので、体力と時間を要する。  最終的には妥協することになってしまったのだが、メカ見習いの中西さんのその徹底的な追求ぶりには頭が下がった。  感謝!

  テッチャンとマイケルの中西コンビが午前10時から進めてくれた車検整備は、こうしてその日の午後7時には予定していたすべての作業を終えていた。  


  後日、いよいよ車検、そして登録、ナンバー取得だ。  担当したのは、安達スペシャルヘルパー。  キャリアカーにFGXを載せて向かった先は、相模の陸運事務所。  スピニングガレージの名義になるから、本来は多摩の陸運事務所に向かうはずだが、聞けば多摩の方では車検予約が取れなかったそうで、そこで苦肉の策として、相模でいわゆる予備車検を受け、その書類を持って多摩に向かい、登録、ナンバーを取得することになったそうだ。  


  相模の陸運事務所の近くで、民間の予備検査場に入り、問題がないかをチェック。  いくつか小さな問題があったものの、これもなんなくクリアし、いよいよ本当の車検ラインに。  無事、オッケーのハンコをもらって、予備検査証をもらう。  それを携えて、多摩の陸運事務所に向かい、ついに登録。  こんな風に、我らがFGXはようやくナンバーを取得したのだ。  


  安達さんもニンマリ。  嬉しさは隠せない。  少なからず、FGXプロジェクトに関 わってきただけに、喜びもひとしおなのだ。  


  出口が下向きの、例のエンドマフラーがスピニングガレージに到着したのは、5月も下旬のことだ。  6月はじめのその交換作業は、てっちゃん、メカニックの中西さんが担当。  ここでオグラが初めて知ったのは、GX型とRV型では、キャタライザー後からセンターマフラーに至るパイプの径が異なること。  GX型の方がやや太いのだ。  中西さんはその辺のところはとっくに承知していて、在庫の中古のパイプをあらかじめ用意していた。  センターマフラーは、ストックしていた新品を使う。  


  作業そのものはチャチャッと進んだ。  さすがの中西さんで、エキゾースト系装着では要求される微妙な調整もなんなく済ませ、すぐに形が整った。  見事なものだ。    ただ、ちょっと驚かされたのが、FGX、実は車検後の1カ月半ほどで、不動車になってしまっていたことだ。  フュエルポンプが動かなくなってしまったのが原因と判明したから、中西さんはその交換作業も行なうことになる。  


  とまあ、色々あったけれど、オグラのFGXプロジェクトは、ここに無事完了した。  とはいえ、リポートはここでアッサリ終わるわけにはいかない。  スピニングガレージがFGXにかけたコスト、時間は、プロジェクトリーダーとしていわせてもらうが、相当なものになる。  だから、なんというか、もったいない。  リポートをもう1回、書きたいと思うのだ。  前回は、この第7回が最終回と予告したけれど、完成したなら試乗はマスト。  次回、今度こその最終回は、FGXの試乗インプレッションをお届けしようと思っているのだ。  乞う、ご期待!


小倉正樹




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2010.03.05 09:11
FGX PROJECT VOL.6





  第6回  もう完璧にGX型である! 


  実をいうと、全塗装に出す前から問題になっていたことがあった。  それは、GX型だけの、リアホイールアーチの前側に装着される細身のストーンガード。  これも、GX型らしさをアピールするうえで重要なパーツ。  しかし、プロジェクトのスタート時点ですでに、スピニングでも部品がないとされていた。  このため、全塗装時にその取り付け穴を塞いでしまい、塗装が上がってきたら、そこにカッティングシートかなにかでそれらしく仕上げようということになっていた。  アイアールサービスにはそう頼んで、実際その通りに仕上がってきたのだ。  ところが……。  



  さて、外観仕上げの当日。  スペシャルヘルパー、安達さんは、まずサイドのプロテクションモールに両面テープをつけ、ボディへの貼り付けを準備する。  とりあえず接着力が弱めの両面テープを使ったのは、このFGXの最終形をサイドプロテクションモール付きとするかしないかを検討するためだ。  右側には付けて、左側は付けない。  左右を見比べてみて、よりGX型らしいのはどちらか、判断しようというわけだ。  

  で、ここでオグラが驚いたのは、スピニングにもないとされていたストーンガードがちゃんと用意されていたことだ。  それも、左右揃って。  ただし、取り付け穴に差し込むピンが折れているから、ピン留めは不可。  FGXの場合、それは前述の理由で逆に好都合ではあったが。  
  聞けば、これには、長い長い物語があるようだ。  このストーンガードがあるのを思い出し、倉庫を探しまくって見つけ出したのは、スピニングのセールス担当、平林さんだったという。  そして、「これはFGXのために取っておく」と、どこかに仕舞ったそうだ。  そこまではエライ。  だけど、平林さん、外観仕上げの予定日前日になったら、どこに仕舞ったかをまったく思い出せなかった。  トホホ…。  結局、平林さんに見つけた時の状況、およびその後の行動を聞き出し、どのあたりにあるかの見当をつけ、見つけ出したのは、店長、田中さんだったそうだ。  まるで、プロファイリングのような……。  
  ま、そんなこともあって、ようやく完成したのが、ご覧の通りの外観だ。  ライトブルーのボディカラーはもとより、安達さんが、よりGX型に似合うと探してきてくれた13インチのスチールホイールもあって、'80年代前半の雰囲気が色濃く漂う。  「よくぞ、ここまで」と、オグラが感激の涙を流した、というのはウソだが、かなりの達成感を覚えたのは確かだ。  




  外観が仕上がれば、次は内装である。  ご存知のように、大方はすでにGX型のものに取り替えてある。  残るは天井、天張りなのである。  

  この'88ゴルフの天井は、結構くたびれていた。  塩ビの表皮が縮んでしまい、端っこ部分が垂れ下がっていたほか、サンルーフの部分は水漏れの跡。  後半部は、一度修理した形跡があって、その時の接着剤が表皮に染み出していたり、ガムテープの跡もあったりして、率直にいえば、かなり悲惨。  これはどうしたって修理しなくてはならないと考えていた。     スピニングが内張の修理を依頼しているのは、アップサービスカンパニーというところ。  代表の小川玄(まこと)さんは、この道十数年というベテランだ。  インテリア関連の事務所に務めていたそうだが、「クルマの内装が好きで好きで」(本人の弁)、自動車内装修理業界に飛び込んだという。  もちろん、そこは職人の世界。  師匠について、その作業の一から十までを盗んだ(学んだ)そうだ。  




  小川さんの作業は、サンバイザーやアシストグリップ、ピラーカバーなど、天張りを留めているものを外すことから始まった。  自ら外し作業を行なうのは、それによって、実際に必要な取り付け穴とか窪みが確認できるからという。  その手際は、ゴルフ2の内張修理に熟練していることを伺わせるものだった。  迷うことなく、淡々と進め、淀む気配がまったくない。  なんだか、小川さん、カッコイイのである。  

  ところで、ゴルフ2の天張りが剥がれ落ちてくる理由だが、小川さんによると、第一には、表皮が塩ビで、経年に伴い縮んでしまうことが挙げられるという。  第二には、表皮下のウレタンが、いわゆる加水分解によってボロボロになってしまうこと。  高温多湿という日本の気候条件下では、室内の湿度はヨーロッパよりはかなり高めになると予想され、加水分解がどうしても促進されてしまうようだ。  したがって、2のオーナーは、この天張り剥がれは仕方ないものと諦めたほうがよさそう。  


  ザクッと作業手順をお伝えするとーー。  

  外した天井は、表皮の塩ビが剥がされ、基盤というか、薄い発泡ウレタンの構造材側に残るウレタンは、タワシできれいに落とされる。  構造材は一部分、割れていたが、これはテープで繋ぐ。  応力がかかる部分ではなく、新しい表皮がかぶせられることもあって、これ以上はやってもムダということになる。  そして、表皮の裏側と、この構造材側の両方に、特殊な接着剤をエアガンで塗布し、新しいウレタン表皮(シート)を構造材側にかぶしていく。  それから手のひらでなぞって圧着させ、しばらくおいて、余った部分をハサミで切り落とし、今度は折り返し部分を丁寧に接着させていく。  これで張り替え作業自体は完了する。  後は、クルマに戻す作業を残すのみだ。  

  天井を直してみて分かったことは、これが意外と気分に影響するということだ。  天井がめくれていたり、剥がれ落ちていたりすると、なんとなく気分が滅入る。  今回のようにシャキッとさせると、気分もスッキリ。  天井なんてそう意識してみるものではないが、なにか問題があると、その重要性が分かってくるというのが面白い。  小川さん、感謝です。  


  次回は、おそらく最終回になると思われる。  車検整備他の細かいところをやって、FGXとしての完成度を高める予定だ。  


小倉正樹




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2010.02.09 11:03
FGX PROJECT VOL.5





  第5回  全塗装って素晴らしい! 


  ゴルフⅡ後期のRV型を、初期のGX型に仕立て直そうとした場合、一番の悩みとなるのは、板金塗装代が結構かかってしまうことだ。  これが前回、オグラが某LV誌の別冊でFGXをトライした時、最大のネックとなって中途半端に終わる結果を招いてしまった。  雑誌の企画とはいえ、無闇に取材費を使うわけにはいかないのだ。  



  ともあれ、板金しなければならない部分は少なくない。  サイドのプロテクションモールが本来はないGX型にするためには、RV型のプロテクションモールの取り付け穴を穴埋めしなくてはならない。  GX型の場合、リアハッチ下の中央にある丸いVWマークはないから、そこも穴埋めしなくてはならない。  そうすると、塗装のほうは、ザックリ考えて前後左右のフェンダー4枚を塗装しなくてはならないし、リアハッチ下もそう。  第一、三角窓付きドアが用意できたとしても、同色とは限らないからそれも塗装しなくてはならない。  さて、いくらかかってしまうのか?

  スピニングガレージとオグラが導き出した結論は、ベースになった'88リミテッドエディションのボディカラーであるブラックは無視して、全塗装をかけてしまうということであった。  オグラとしては、ブラックのままにして、必要部分だけを板金塗装するというのが、コストもかからず、それでいいのではと思っていたのだが、スピニングの判断はいい意味で違った。  太っ腹! オグラとしては望外で、喜んでしまったのはいうまでもない。  
  そうなってくると、次に問題となってくるのは、さてボディカラーをなんにするかである。  オグラもそうだが、スピニングのスタッフも大の付くゴルフⅡ好きだ。  したがって、うんちくも各人相当なものがあって、この色に関しては、カンカンガクガク、ケンケンゴウゴウ。  が、やがて、初期のGX型だけにあった単色にしたほうがよりGX型らしくなるということで、そういう方向に。  そして、イエローを支持するメンバーも多かったのだが、最終的には、おそらく最も希少と思われるライトブルー(空色)にすることを決定したのである。  
  板金と全塗装を引き受けてくれたのは、スピニングガレージの協力工場である相模原・田名のアイアールサービス(042-760-3127)だ。  代表の山口春一さんは、多くのスタッフを抱えつつも、自ら板金作業、塗装にも精を出すプレイングマネージャー。  塗料には、多くのヨーロッパ自動車メーカーから補修塗料の純正指定を受ける、デュポン社のスタンドックスを使用、塗装ブースを2基も備えていて、こういってはなんだが、FGXの板金塗装には分不相応とも思える立派な工場だ。  


  最初に見学させてもらったのは、例のサイドプロテクションモール取り付け穴を埋める作業だ。  興味津々、拝見していると、これが意外に簡単に終わる。  取り付け穴の周辺をサンダーで削り、スチールの地肌を出した後、ステンレスの小片を穴の部位に押し当てて電気溶接で溶接し、最後はサンダーで面を均すという流れ。  簡単なように見えたのは、おそらく作業を行なったスタッフの熟練のワザゆえだろう。  




  板金、パテ付け、サフェーサ-塗装、ボディ全体の足付け作業などを順調に経て、いよいよ塗装ということになるが、ここで注目しておきたいのは、アイアールサービスが、全塗装の場合、フロントやサイド、リアのガラスも外し、モールの類もすべて外して作業している点だ。  それらの脱着作業は時間を要することから、そのままにしておいてマスキングでカバーしてしまうところが少なくない。  アイアールサービスでは、そうした省略をせず、美しい仕上がりが期待できる本来のやり方を貫き通している。  ボンネットやドアなど、外せる部位は外して、ボディとは別に塗装しているのも見逃せない。  手間暇をかけているのだ。  


  全作業を終えて、スピニングガレージに戻ってきた'88リミテッドエディションは、これがあのみすぼらしかったクルマとはとても思えないほどの大変身を遂げていた。  まだ、リアのホイールアーチ前側に付くストーンガードや、サイドのプロテクションモールをつけてはいなかったが、雰囲気はもうほとんどGX型。  ドアは三角窓付きだし、フロントグリルはバーの細かいタイプ、バンパーはスモールバンパーでクローム風のモールが付くタイプ。  スペシャルヘルパー、安達さんの全塗装前の作業が効いて、まんま、GX型の佇まいなのである。  これはいい! とてもいい!!


  次回は、外観の最終仕上げと、天張り(ルーフライニング)修正作業の様子などをお伝えする予定。  それが終われば、いよいよ……。  


小倉正樹




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2010.01.12 08:25
FGX PROJECT VOL.4





  第4回  検討する時間こそが楽しい 


  オグラはいま、スピニングガレージの協力を得て、ゴルフⅡの後期型であるRV型で、初期型GX型のフェイク(偽物)を作ろうとしている。  その理由は、以前にも書いたが、エンジンの燃料供給方式がデジファント(電子制御)となる後期型のRV型なら、半機械式であるKEジェトロのGX型よりは気を遣わずに乗ることができると思われるからだ。  まさに、GX型のクラシックな佇まいを気軽に楽しむため、である。  



  これは、いい替えれば、GX型、そしてもちろん、そのオーナーへのリスペクトでもある。  ご存知の方も多いと思うが、ヨーロッパではすでに '70年代や'80年代のクルマが注目されていて、“ヤングタイマー”あるいは“ヤングクラシックス”というくくりで、ひとつの文化的ムーブメントを形作っている。  クルマそのものを楽しむということもあるが、それが醸し出すノスタルジーも同時に楽しむというものでもあって、精神的に、あるいは経済的にも余裕がなければできないことだと思われる。  ライフスタイルの表現でもある。  オグラとしては、本物の価値を十分に知りつつ、それを維持するオーナーの、多少の苦労は顧みない心意気を、やや大げさにいわせてもらえば、拍手をもって賞賛したいのだ。  

  さらにいうなら、こういう少しひねった形であっても、あるいは解体される運命にあったかもしれないゴルフⅡを蘇らせ、社会復帰させることは、意義あることだと思う。  「ゴルフⅡという名車を、1台でも多く残していく」というのは、スピニングガレージの社是だが、これにはまったくもって同意する。  ゴルフⅡのオーナーはゆめゆめ、最初の登録(届出)から13年を超えた車の廃車に伴う新車購入、なんて考えないように! オグラは、そうお願いしたい。  

  前置きが長くなってしまったが、では、本題の内装のFGX化についてーー。  


  事前の予想では、トリムほかの部品は大体揃っているため、なんなくFGX化できると思えたのだが、凝り性のオグラが、これまた凝り性のスペシャルヘルパー、安達さんと組んでの作業だったため、意外や時間がかかってしまった。  交換すべきパーツ、また欠品パーツをどうするか、それぞれの吟味に、とりわけ時代考証に、あーでもないこーでもないと検討する時間が長かったのだ。  
  たとえば、オーディオだ。  もともと、この'88のゴルフⅡには、ラジオが付いていなかったので、当初は、スピニングにストックしてあるRV型に標準装着の、表示部がデジタル表示となっているものを付けようという話だった。  それでも悪くはなかったが、オグラは安達さんに、指でボタンをギュッと押して選局する、オーディオというよりはラジオといったほうが正解の、より旧いほうをリクエストしたのだ。  

  今年、還暦を迎えるオグラが年の功を発揮したのは、この時だ。  安達さん、スピニングの膨大な在庫車の中から、そのタイプのラジオを装着しているクルマを見つけ、早速外しにかかった。  でも、さすがの安達さんも、そのタイプのラジオを外した経験がなかったようで、どうにも取り出し方が分からない。  いまのオーディオは、枠というか、ガイドで本体を固定する。  しかし、昔は、左右の大きなボタンの同軸にリングのようなナットを締め込んでフロントフェースを挟み込むような格好にして、本体を固定していたのだ。  オグラがエラソーに、安達さんにその構造を教えたのはいうまでもない。  

  たとえば、シートだ。  GX型のシートは、グレーで目の粗いザックリとした表皮が使われているが、少なからず中古部品を持つスピニングでも、こればかりはない。  このため、暫定的にセレクトしたのは、かつてアプトのコンプリートカーに装着されていたというシート。  とりあえずは、ドアトリムのグレーに見合う色のシートを探したあげく、これに決めた。  工場の2階にある倉庫で、所狭しと並ぶシートをひっくり返しては2ドア用かどうか、色や状態もチェックしたため、結構時間がかかってしまった。  


  実際の作業は、ステアリングホイールの交換から始めて、センターコンソール(パワーウインドースイッチがないタイプへ)の交換と進み、最初の検討課題だったオーディオも装着し終えて、これでダッシュボード回りは完成。  ドアの後ろのトリムも交換して、次はシートの取り付けへ。  安達さんはなんら滞ることなく作業を進めて、無事、室内のFGX化を完了した。  


  あーだこーだと検討する時間がなければ、内装の仕上げは、多分そう多くの時間を要しなかっただろう。  しかし、実をいえば、この検討の時間こそが楽しいのだ。  それは、いってみれば、1分の1のモデル(模型)を作っていく過程であって、もっといえば、世界に1台のゴルフⅡを作るという面白さでもある。  こういうチャンスに恵まれもしなければ、そうそうできることではない。  


  次回は、いよいよボディの板金、全塗装の工程。  さて、スピニングガレージとオグラが話し合って決めた色は、果たして何色だろうか? 初期型のGX型にしかない色で、ソリッド(単色)であることはお伝えしておく。  


小倉正樹




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2009.12.09 08:13
FGX PROJECT VOL.3





  第3回  これはリサイクルなのかも!? 


  FGXプロジェクトの要は、なんといってもどう人の目をあざむくか、だ。  最初期型のより旧車っぽい雰囲気を、いかに醸し出すか、である。  ポイントのなるのは、三角窓付きの左右ドア、バーの細かいフロントグリル、クロームを模したモールが入った前後スモールバンパーというところ。  細いサイドプロテクションモールも、忘れてはならない。  あるいは、三角窓とこの細いモールのコンビネーションこそが、旧さを際立たせるともいえる。    



  こうしたパーツを揃えるのは、決して楽ではない。  そこにGX型のドンガラが丸々あれば、苦もなくできるだろうが、現実はそう甘くはない。  GX型は残っている個体が少なく、あるとすればGX型をこよなく愛するオーナー氏が大事に大事に乗っているという例。  もちろん、「フェイクを作るから、譲って下さい」なんて、口が裂けてもいえない。    

  オグラの場合は、その執念深さ(?)が幸運を呼び込んだというべきかもしれない。  以前から漠然と抱いていたFGXプロジェクトは、まずコックススピード神戸の梅原メカの電話で第一歩を踏み出す。  梅原メカは長年愛用していたGX型を手放すことになって、それでもただ解体してしまうのはもったいないと、「車検切れで廃車にする予定ですが、いります?」とかけてきてくれたのだ。  この梅原さんのGXは、大いに役立った。  昨年末に発売された某VGF誌のVol.18をご覧になった方は覚えておられるかもしれないが、そのエンジン関連、ホイールなどは「三角窓付きゴルフⅡ、GX型に“愛”を!」という企画に使われ、長年スピニングガレージのストックヤードに眠っていた’85年の左ハンドルCiの社会復帰に貢献した。  

  この企画の取材時、エンジンを復活させる作業をやってくれたのが埼玉・日高のスタイマー。  取材後、美味しい部分を企画の黄色いCiに取られてしまった梅原さんのGXは、やむなく解体業者の手にゆだねることになったが、その時点で、オグラがスタイマーの石戸さんになんとなく頼んでいたのが、左右のドアとプロテクションモールのキープ。  これがまた、ご存知かもしれないが、今年9月に発売された某VGF誌別冊の企画「最初期型ゴルフⅡのクラシカルな佇まいを気楽に楽しむ方法」に役立ってしまうのだ。  


  そして、今回のサポーテッド・バイ・スピニングガレージの“FGXプロジェクト”にも、この三角窓付きドア左右とサイドプロテクションモールは流用する。  スタイマーの石戸さんに企画の趣旨を話し、譲ってもらったのである。  梅原さんのGXは部分的にせよ、まだ活きているということだ。  こんな流れを聞いてしまうと、オグラって本当にしつこいと思うでしょ? でも、これって、もしかすると、いわゆるリサイクルになるのでは? いや、もしかしなくても、立派なリサイクルだと思うんだけど……。  
  '88のリミテッドエディションのGX化は、スペシャルヘルパーの安達メカの手で行なわれた。  ヘルパーのヘルパーは、見習いの中西さん。  
  某VGF誌別冊でも記したように、三角窓付きドアやサイドプロテクションモール以外の、たとえばバーの細かいフロントグリルや前後フロントバンパーなどは、もともとスピニングのストックだったものだ。  スピニングでは、こういう場合に備えて(?)、少なからず部品を備蓄しているから、皆さんももし探しているものがあるなら、問い合わせてみるとよい。  
  さて、ゴルフ2のありとあらゆるところを分解し、組み立ててきたという安達さんの作業は、淡々として着実だ。  フロントのエプロンの装着から始まってバンパー、グリル装着と進んで、次はリアバンパー装着と、ちょっとした手直しなども加えながら作業して、ほどなくドア交換作業に至る。  見習いの中西さんはオーバーフェンダー外しを担当した。  


  見ていて面白かったのは、ドア交換作業だった。  外すほうは、安達メカと中西さんの共同作業でなんなく終わったのだが、取り付けるほうが、大変なことになった。  中西さんがドアを持ち、ボルトを組み付ける安達メカの指示に従って持ち上げたり、その角度を変えたりするのだが、これがうまくいかない。  見かねた小林メカや中西メカがドアのサポートに駆けつけるもの、これがふたりでやっていた時以上にうまくいかない。  4人がよってたかってやるのだけれど、4人ともあーだこーだといって、全然ドアが所定の位置に来ず、ボルトがうまく入っていかないのだ。  異様に時間がかかる。  これぞまさしく、「船頭多くして、船、山に上る」。  ホント、楽しませてもらった。  


  交換作業を終えた外観は、ちょっと興味深いものだった。  色違いになってしまったのは、フロントのエプロン(黄色)と左右のドア(濃紺)だけなのだが、かつてフォルクスワーゲンがポロに設定した各パネル毎に色が違うモデルを思い出させたのである。  これなら、いっそ、ボンネットや左右フェンダー、リアハッチも違う色にしてしまったら、面白いのかも……。  


  とまあ、こんな妄想もしてしまったのだが、いやいや本来のコンセプトを忘れてはいけない。  我々はフェイクのGXを作るのだ!


小倉正樹




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オグラのFGXプロジェクト

 クラシカルな佇まいを気軽に楽しむ!

2009.11.10 14:20
FGX PROJECT VOL.2





  第2回  “FGXプロジェクト”を具体化する 


  スピニングガレージのキャリアカーを借りて、埼玉・日高のスタイマーからスピニングにクルマを運んで数日後、オグラは再びスピニングへ。運び込んだ'88のRV型をベースにした、“FGXプロジェクト”を具体化するべく、スピニングで手直しをスタートさせようというのだ。  



  このクルマはちょっと不思議なクルマだった。'88モデルということは、一時抹消 の書類で分かっていたが、'88にボディカラーがブラックという標準モデルはなかっ たように思うし、それにメーターパネルは初期型のもので、スピードメーターの下に 水温計と燃料計が並ぶタイプ。運転席には後期CLiのシート、それも4ドア用が取り 付けられていて、後席には前期CLiのシート。どちらも、年式からいって、とてもオ リジナルのものとは思えないもの。なんだ、コレ? という感じ。いってみれば、素 性を知るポイントがないのだ。だからといって、このクルマを捨てようとは全然思わ ないが……。  

  しかし、スピニングの田中さんは、このクルマのシャシーナンバーを確認して、一 発で素性を明らかにした。田中さんによれば、このクルマは'88年に登場したリミ テッドエディション。ヤナセがVW輸入35周年を記念して発売したモデルだった。翌 '89年の登場した限定仕様、WOブラックのハシリみたいなものだという。だから、CLi とはいえず、あくまでも、'88リミテッドエディションというのが、このクルマの正 式名称になりそう。ウーン、そうだったのか。    まず、取り組んだ手直しは、サスペンション交換だ。このクルマ、妙に車高が高 かったのである。調べてみると、なんとゴルフ3の純正のサスペンションが装着され ていた。3より車重の軽い2に、3のサスペンションでは車高が高くなるはず。なに をどう考えて3のサスペンションを付けたのか? そこのところはよく分からない が、とりあえずは、サスペンションをノーマルに、あるいはもう一歩進めてやや低い 車高が得られるスポーツサスペンションに交換しようと、スピニングの田中さんに相 談する。すると、田中さんは工場の奥のストックヤードからザックスのパフォーマン スセットを取り出してきてくれた。もちろん、ユーズドである。これなら、車高も適 度に下がる。

  サスペンション交換をやってくれたのは、スピニングの中西メカだ。この作業、中 西メカにとってはもう何度も何度も繰り返しやってきたことで、ビフォア・ブレック ファースト。サクサクと進めてくれる。装着されていた3のサスペンションを外した 段階で、それをザックスのパフォーマンスセットと比較、状態のよかった3のリアの アッパーラバーやバンプラバーをザックスに付け替えるという気遣いも見せつつ、テ キパキと作業。装着後はキャンバー調整、そしてタイヤ&ホイールを取り付けての トーイン調整と、滞りなく進んでいった。本当なら、次にテスト走行をするところだ が、なにせこのクルマはナンバーなしの状態。ここで、作業は完了ということになっ た。


  と、オグラが次にトライさせてもらったのは、外観を一応整えることであった。どうい うことかというとーー。  このクルマは、昔懐かしいRSバンパーが装着されていて、リアバンパーも後期型の ビッグバンパーとなっていた。ナンバーなしで自走はできず、スタイマーからキャリ アカーで運ばなければならなかったため、それらを一旦外し、4灯式のグリルととも に室内に放り込んでいた。室内には、前オーナーが用意したと思われるヘラー製のカ ラーレンズ(ブルー)のセットもあった。前オーナー氏、基本的には、かつて大流行し たニュルルックを目指したモディファイを施していたようで、ならば、その意向を汲 んで一度はそれを再現して見ようと思っていたのだ。車高が下がったこともあるし、 おそらくはこれが前オーナー氏が走らせていた時の状態というところを見てみたかっ たわけだ。


  バンパー装着、またレンズ交換の作業をやってくれたのは、安達メカ。もちろん、 チャチャッと作業は進んで、たちまちニュルルック風のゴルフが姿を現す。リフトか ら降ろして、工場の外に出してみると、これがなかなか……。

  低くなった車高にRSバンパー、それにブルーのカラーレンズを装着したその姿は、結構スゴ味があって、いかにもヤンチャ。もし、オグラがアラカン(アラウンド還暦) ではなく、20代前半だったらブイブイいわせて乗ってみたくなるようなスタイル。 もっとも、OZホイールにスタッドレスというミスマッチはなんとかしなくてはならない。これだったら、ディープリムのCUPホイールがベストな選択になるはずで、それも、14インチがいい。とまあ、勝手に妄想したりするのである。

   さて、ちょっと寄り道させてもらったが、次回はGX風にするためのパーツを、頑張って揃えてみたいと思う。


小倉正樹

関連:http://www.spinninggarage.com/shopping.cgi?r=i&ItemNo=0098&itype=s&id=30


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オグラのFGXプロジェクト

 クラシカルな佇まいを気軽に楽しむ!

2009.10.09 00:00
FGX PROJECT VOL.1





  オグラのやること
  第1回   ■ やっぱり“FGX”を作るゾ! ■


  ここに'88年式のゴルフⅡがある。  エンジン形式はRV型。  2ドア、左ハンドルの5速マニュアル仕様で、サンルーフ付き。  ボディ色はソリッドのブラック。  見た目こそややみすぼらしいが、走行15万㎞超の割にはエンジンほかの機械部分のコンディションは悪くなく、そこそこ手直ししていけば、立派に社会復帰を果たすだろうと思われるクルマだ。  オグラが数年前になにかとの物々交換で知人から譲り受けたもので、埼玉・日高のVW/アウディ専門工場、スタイマーに預かってもらっていたものだ。  


  オグラには、悪い癖がある。  まだまだ活かせる、がんばれる可能性があるのに、そのまま朽ち果てようとしているゴルフ2を見ると、ついつい手をさしのべてしまいたくなるのだ。  

  この'88ゴルフもそうだ。  前オーナー氏はクルマの外観を触って楽しむタイプだったようで、本来スモールバンパーであるはずの前後バンパーは、フロントがかつて一世を風靡したRSバンパー、リアにはビッグバンパーが装着されていた。  室内は、左右ドアやリアトレイに後付スピーカー。  前オーナー氏、オーディオにも凝っていたようで、このため、ドアとリムには少なからずの取り付け穴が開く。  ボディに大きな凹み、傷はないものの、左右テールレンズの側面下部に少し錆が発生していた。   どうやら、追突事故後の板金塗装がいい加減だったために、塗装が割れて発生した錆のよう。    とまあ、見た目、なかなか悲しい状況にあって、オグラとしても、おいそれとは手が出せないクルマではあったのだが、それでも、いずれはなんとかしようと思っていたのである。

  ただ、オグラとしては、ごく普通にオリジナル状態に戻すことはあまり考えていなかった。  もう何度も何度もやってきた。面白くない。だから、なにかこれまでとは違った方法で、この'88ゴルフを蘇らせたいと思ったのだ。
で、考えたのは、コイツを最初期型のGX風に仕上げることである。


  と、ここまで読み進められた方の中には、「オッ、FGXプロジェクトか?」と思われる方も少なくないと思う。そう、この9月末、学研が発行したル・ボラン別冊”フォルクスワーゲン・ゴルフ・ファン”で、オグラが展開したFGXプロジェクトである。

  念のため、別冊をリポートをお読みではない方のために、FGXプロジェクトを簡単に説明しておくと--。

  ご存知のように、ゴルフⅡはいま、ライト旧車としての人気を高めつつある。そうした人気が集まれば、注目は自然と旧い方へ、旧い方へと向かうはずで、三角窓付き、スモールバンパーの最初期型、GX型の佇まいが「カッコイイ」ということになる。  ところが、エンジンの燃料供給方式が半機械式のKEジェトロ式のGX型は、やや気むずかしいとされ、年式が古いこともあってメンテナンスが心配という声がある。  GTIが最終型までKEジェトロであったことを考えれば、そんなに不安はないとも思われるが、年式の古さ、すなわち防ぎようのない経年変化は確かに心配の種かもしれない。  そこで、考えられるのは、もし、燃料供給に電子制御のデジファントを使う後期型のRV型に、GX型の外観を実現し、内装もそれらしく装えば、ゴルフ最初期型のクラシックな雰囲気を気軽に楽しめるではないかということ。  FGXのFは、フェイクの意。  そのコンセプトは、「クラシカルな佇まいを気軽に楽しむ!」なのだ。


  実は、このFGXプロジェクト、オグラがかなり以前ら暖めていたもので、この'88ゴルフでやってみることを考えていた。  しかし、別冊でゴルフⅡの企画をページにすることになり、急遽、埼玉・日高のスタイマーで具体化する話になったのだ。  スタイマーにあった2ドアのCLiはボディの色が、外してあったGX型の2ドアと同じ濃紺であったことも、取材を進める上で好都合。  塗装の必要がなくなるということだからだ。が、別冊では、スピニングガレージの協力も得て、一応、形を作るよう頑張ったものの、コスト、締め切りの関係もあって、中途半端に終わってしまった。  残念無念というやつだ。

  そこでそこで、改めて、FGXプロジェクトを、スピニングガレージのサポートを受け、この'88ゴルフで再スタートさせようと思うのだ。

  どう? ダメ?  


小倉正樹

関連記事:http://www.spinninggarage.com/index.cgi?no=304

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